糖尿病代謝科
概要・特色
外来診療予定・医師のご案内
<概要>
当科の診療対象疾患としては、
■糖尿病(1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病等)
■脂質異常症
■高尿酸血症
■肥満症
■視床下部・下垂体における内分泌疾患
■甲状腺疾患
■副甲状腺疾患
■副腎疾患
■性腺疾患
となります。
糖尿病および脂質異常症、甲状腺疾患を数多く診療させて頂いていますが、上記に列挙されているように(頻度こそ多くはありませんが)視床下部や副甲状腺等の内分泌疾患についても、当科で診断治療に当たっております。
2022年4月からは、科長の佐藤、常勤医の鈴木そして非常勤の北村、以上3名のスタッフで診療にあたっております。
【糖尿病をはじめとする生活習慣病治療】
当科で多く診察させて頂いている糖尿病ですが、生活習慣病の乱れおよび遺伝が原因で発症する2型糖尿病と、自己免疫が原因で発症する1型糖尿病、そして妊娠を契機に糖代謝異常が顕在化する妊娠糖尿病等に分類されます。
妊娠糖尿病やステロイド投与誘因によるステロイド糖尿病等のケースは別ですが、上記の1型糖尿病、2型糖尿病については、現時点で治癒を目的とした根本的治療として確立した治療法はなく、この疾患を上手くコントロール・共生していく必要があります。
糖尿病においては、糖尿病ケトアシドーシス、高血糖高浸透圧症候群等の高血糖緊急症では致命的になりうるケースがあるものの、基本的には「直接」命に関わる疾患ではありません。
クモ膜下出血でみられる強烈な頭痛、急性心筋梗塞の強烈な胸痛、急性膵炎や胆嚢炎での腹痛、糖尿病ではそういった派手な症状が見られることがなく、じわじわと病態悪化が進行し、血糖値が上昇してしまいます(劇症1型糖尿病のように急速に進行する病態もありますが)。
従って、糖尿病は自覚症状が無く健康診断で発見されるケースが多くを占めます。口渇・多飲・多尿等の高血糖による症状で内科を受診される場合や視力異常で眼科を受診したことをきっかけに内科・糖尿病内科に紹介受診されるケースもありますが、その様に症状が顕在化した段階では、糖尿病の病態はかなり進行している事が殆どです。
診断されたら、なにはともあれ躊躇せず「治療」を開始することです。上述の通り、無自覚に病態が進み、診断がついた段階ではかなり血糖値が悪いことが少なくないため、治療当初は経口血糖降下薬やインスリン注射等を使った「薬物治療」がメインになります。しかしそのようは急性期の病態を除けば、糖尿病の治療の基本は「食事療法」、「運動療法」、「薬物治療」の三本立てであり、とりわけ前者2つが病態改善・維持において極めて重要です。
患者さん個人個人で、年齢や仕事の有無等も含めた生活スタイルや身体能力・基礎体力等々は千差万別ですが、それらを踏まえて、個々で現実可能な「食事療法」「運動療法」を設定し、実行していくことが重要です。
患者さんの中には食事療法、運動療法のみで良好な血糖コントロールが達成出来る方も(数は多くありませんが)いらっしゃいます。食事療法や運動療法でも血糖コントロールが不十分な場合、必要十分な薬物療法を併用して血糖コントロールを改善させていく事になります。
患者様の中には「一度薬をはじめたら一生止められないのでしょう?」と御心配される方が非常に多くいらっしゃいます。結果的に糖尿病薬から離脱できないケースも多いわけですが、治療の過程で改善し、徐々に減薬や薬物の離脱ができるケースも少なくありません。
その場合重要になるのが食事療法・運動療法です。むしろ最後まで止められないのは「薬物療法」というよりも、生活習慣の改善と維持であり、それは「食事療法」であり「運動療法」に他なりません。
症状は目立たず、とりわけ痛いわけでも、苦しいわけでも無い、そして「直接」命に関わる疾患ではない糖尿病を何故治療しなければならないのか?
それは糖尿病が地盤となって引き起こす数々の合併症や動脈硬化性疾患を予防し、生活の質(Quality of life;QOL)を維持・改善するためです。
糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害に代表される細小血管合併症が代表的な糖尿病の合併症です。
それらは失明や腎不全・透析導入、足壊疽・下肢切断等のリスクがあり、QOLそして予後を著しく悪化させ、命に関わることすらあります。血糖コントロールの悪化は脳梗塞や心筋梗塞発症のリスク因子にもなることは知られており、これらが致命的な病態になりうることも広く知られています。
即ち、糖尿病は「直接」命に関わる疾患ではないが、「間接的に」命を脅かす、非常に恐ろしい疾患という事になります。
このようなQOLを低下させ予後や寿命に影響を及ぼす合併症を予防し、糖尿病ではない人と同様な生活を維持するためには、この疾患と上手に共生していく必要があります。
その為には「食事療法」「運動療法」「薬物療法」をバランス良く組み立てていくことが必要です。私達の診療科では、患者さん個々の事情を考慮しながら、治療のお手伝いをさせて頂きます。
外来では、近隣の医療施設から御紹介いただいた患者さん等を対象に診療がなされ、個々の患者さんの状況に合わせて、経口血糖降下薬やインスリン製剤やGLP-1受容体作動薬をはじめとする注射製剤等から適切な治療を選択して治療を行っています。注射製剤を選択されている患者様では、自己血糖測定の導入も行い、低血糖・高血糖の状況把握のみならず食習慣や運動習慣を考え直すきっかけにして頂いております。インスリン製剤を使用されている患者様では、2022年4月から間歇スキャン式持続血糖測定器(isCGM)が保険適応となり、当院でも患者様の適性にあわせて適宜導入しています。
看護師によるインスリン注射や自己血糖測定の指導、栄養士による食事療法の指導については、時には家族指導なども行うことで、より包括的に患者さんの治療を実践しております。血糖コントロールに加えて、糖尿病合併症や肥満、脂質異常症、動脈硬化症の診断と治療も行っています。この中には、神経障害の評価、上肢・下肢血圧同時測定による動脈硬化の評価、腹部CT検査による内臓脂肪の評価等が含まれます。
合併症のある患者さんでは、眼科、腎臓内科、循環器科、消化器科、整形外科、皮膚科等、院内もしくは(特に産婦人科等、当院にない診療科では)他院の多くの関連各科と連携しながら治療に当たっています。
2022年4月からスタッフ増員となったこともあり、入院治療に関しては、御紹介頂いた患者様の糖尿病教育入院はもちろんのこと、糖尿病ケトアシドーシス、高血糖高浸透圧症候群等の緊急入院を要する症例まで、臨機応変に対応させて頂いております。
【内分泌疾患治療】
糖尿病以外の疾患としては、有病率が中年以降の女性20~40人に1人といわれる甲状腺疾患についても多くの患者様を診察させて頂いております。
橋本病やBasedow病の薬物治療は当科でフォローアップ可能です。甲状腺腫瘍の穿刺細胞診及び手術療法の適応症例等は当院外科にて実施させて頂いています(必要な場合当科から紹介します)。またBasedow病の131I内用療法に関しては、適宜専門病院へ紹介させて頂いています(手術療法は当院外科で治療可能です)。
下垂体・副腎・副甲状腺といった内分泌器官の疾患も当科担当領域となります。国民の1/3は高血圧症といわれています。そのうち約10%は二次性高血圧症、つまり血糖上昇の原因が特定できるものとされます。
その原因に対する治療が適切に行われれば血圧の是正が可能となることも多く、その中には原発性アルドステロン症といわれる副腎疾患が含まれ、その割合は少なくないとされます。地域の医療機関から二次性高血圧症や原発性アルドステロン症の疑いで当科に紹介されるケースも多く、適宜ホルモン負荷試験や画像診断を実施して診断・治療を行っています。
当科の診療対象疾患としては、
■糖尿病(1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病等)
■脂質異常症
■高尿酸血症
■肥満症
■視床下部・下垂体における内分泌疾患
■甲状腺疾患
■副甲状腺疾患
■副腎疾患
■性腺疾患
となります。
糖尿病および脂質異常症、甲状腺疾患を数多く診療させて頂いていますが、上記に列挙されているように(頻度こそ多くはありませんが)視床下部や副甲状腺等の内分泌疾患についても、当科で診断治療に当たっております。
2022年4月からは、科長の佐藤、常勤医の鈴木そして非常勤の北村、以上3名のスタッフで診療にあたっております。
【糖尿病をはじめとする生活習慣病治療】
当科で多く診察させて頂いている糖尿病ですが、生活習慣病の乱れおよび遺伝が原因で発症する2型糖尿病と、自己免疫が原因で発症する1型糖尿病、そして妊娠を契機に糖代謝異常が顕在化する妊娠糖尿病等に分類されます。
妊娠糖尿病やステロイド投与誘因によるステロイド糖尿病等のケースは別ですが、上記の1型糖尿病、2型糖尿病については、現時点で治癒を目的とした根本的治療として確立した治療法はなく、この疾患を上手くコントロール・共生していく必要があります。
糖尿病においては、糖尿病ケトアシドーシス、高血糖高浸透圧症候群等の高血糖緊急症では致命的になりうるケースがあるものの、基本的には「直接」命に関わる疾患ではありません。
クモ膜下出血でみられる強烈な頭痛、急性心筋梗塞の強烈な胸痛、急性膵炎や胆嚢炎での腹痛、糖尿病ではそういった派手な症状が見られることがなく、じわじわと病態悪化が進行し、血糖値が上昇してしまいます(劇症1型糖尿病のように急速に進行する病態もありますが)。
従って、糖尿病は自覚症状が無く健康診断で発見されるケースが多くを占めます。口渇・多飲・多尿等の高血糖による症状で内科を受診される場合や視力異常で眼科を受診したことをきっかけに内科・糖尿病内科に紹介受診されるケースもありますが、その様に症状が顕在化した段階では、糖尿病の病態はかなり進行している事が殆どです。
診断されたら、なにはともあれ躊躇せず「治療」を開始することです。上述の通り、無自覚に病態が進み、診断がついた段階ではかなり血糖値が悪いことが少なくないため、治療当初は経口血糖降下薬やインスリン注射等を使った「薬物治療」がメインになります。しかしそのようは急性期の病態を除けば、糖尿病の治療の基本は「食事療法」、「運動療法」、「薬物治療」の三本立てであり、とりわけ前者2つが病態改善・維持において極めて重要です。
患者さん個人個人で、年齢や仕事の有無等も含めた生活スタイルや身体能力・基礎体力等々は千差万別ですが、それらを踏まえて、個々で現実可能な「食事療法」「運動療法」を設定し、実行していくことが重要です。
患者さんの中には食事療法、運動療法のみで良好な血糖コントロールが達成出来る方も(数は多くありませんが)いらっしゃいます。食事療法や運動療法でも血糖コントロールが不十分な場合、必要十分な薬物療法を併用して血糖コントロールを改善させていく事になります。
患者様の中には「一度薬をはじめたら一生止められないのでしょう?」と御心配される方が非常に多くいらっしゃいます。結果的に糖尿病薬から離脱できないケースも多いわけですが、治療の過程で改善し、徐々に減薬や薬物の離脱ができるケースも少なくありません。
その場合重要になるのが食事療法・運動療法です。むしろ最後まで止められないのは「薬物療法」というよりも、生活習慣の改善と維持であり、それは「食事療法」であり「運動療法」に他なりません。
症状は目立たず、とりわけ痛いわけでも、苦しいわけでも無い、そして「直接」命に関わる疾患ではない糖尿病を何故治療しなければならないのか?
それは糖尿病が地盤となって引き起こす数々の合併症や動脈硬化性疾患を予防し、生活の質(Quality of life;QOL)を維持・改善するためです。
糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害に代表される細小血管合併症が代表的な糖尿病の合併症です。
それらは失明や腎不全・透析導入、足壊疽・下肢切断等のリスクがあり、QOLそして予後を著しく悪化させ、命に関わることすらあります。血糖コントロールの悪化は脳梗塞や心筋梗塞発症のリスク因子にもなることは知られており、これらが致命的な病態になりうることも広く知られています。
即ち、糖尿病は「直接」命に関わる疾患ではないが、「間接的に」命を脅かす、非常に恐ろしい疾患という事になります。
このようなQOLを低下させ予後や寿命に影響を及ぼす合併症を予防し、糖尿病ではない人と同様な生活を維持するためには、この疾患と上手に共生していく必要があります。
その為には「食事療法」「運動療法」「薬物療法」をバランス良く組み立てていくことが必要です。私達の診療科では、患者さん個々の事情を考慮しながら、治療のお手伝いをさせて頂きます。
外来では、近隣の医療施設から御紹介いただいた患者さん等を対象に診療がなされ、個々の患者さんの状況に合わせて、経口血糖降下薬やインスリン製剤やGLP-1受容体作動薬をはじめとする注射製剤等から適切な治療を選択して治療を行っています。注射製剤を選択されている患者様では、自己血糖測定の導入も行い、低血糖・高血糖の状況把握のみならず食習慣や運動習慣を考え直すきっかけにして頂いております。インスリン製剤を使用されている患者様では、2022年4月から間歇スキャン式持続血糖測定器(isCGM)が保険適応となり、当院でも患者様の適性にあわせて適宜導入しています。
看護師によるインスリン注射や自己血糖測定の指導、栄養士による食事療法の指導については、時には家族指導なども行うことで、より包括的に患者さんの治療を実践しております。血糖コントロールに加えて、糖尿病合併症や肥満、脂質異常症、動脈硬化症の診断と治療も行っています。この中には、神経障害の評価、上肢・下肢血圧同時測定による動脈硬化の評価、腹部CT検査による内臓脂肪の評価等が含まれます。
合併症のある患者さんでは、眼科、腎臓内科、循環器科、消化器科、整形外科、皮膚科等、院内もしくは(特に産婦人科等、当院にない診療科では)他院の多くの関連各科と連携しながら治療に当たっています。
2022年4月からスタッフ増員となったこともあり、入院治療に関しては、御紹介頂いた患者様の糖尿病教育入院はもちろんのこと、糖尿病ケトアシドーシス、高血糖高浸透圧症候群等の緊急入院を要する症例まで、臨機応変に対応させて頂いております。
【内分泌疾患治療】
糖尿病以外の疾患としては、有病率が中年以降の女性20~40人に1人といわれる甲状腺疾患についても多くの患者様を診察させて頂いております。
橋本病やBasedow病の薬物治療は当科でフォローアップ可能です。甲状腺腫瘍の穿刺細胞診及び手術療法の適応症例等は当院外科にて実施させて頂いています(必要な場合当科から紹介します)。またBasedow病の131I内用療法に関しては、適宜専門病院へ紹介させて頂いています(手術療法は当院外科で治療可能です)。
下垂体・副腎・副甲状腺といった内分泌器官の疾患も当科担当領域となります。国民の1/3は高血圧症といわれています。そのうち約10%は二次性高血圧症、つまり血糖上昇の原因が特定できるものとされます。
その原因に対する治療が適切に行われれば血圧の是正が可能となることも多く、その中には原発性アルドステロン症といわれる副腎疾患が含まれ、その割合は少なくないとされます。地域の医療機関から二次性高血圧症や原発性アルドステロン症の疑いで当科に紹介されるケースも多く、適宜ホルモン負荷試験や画像診断を実施して診断・治療を行っています。