内視鏡治療センター

 
  内視鏡治療について

1. 上部消化管内視鏡検査、下部消化管内視鏡検査

 当院では苦痛のない内視鏡検査を行うために原則として鎮静剤を使用しています。
上部消化管内視鏡検査においては、経鼻内視鏡による検査、腫瘍の精密検査として拡大内視鏡も積極的に行っています。

 下部消化管内視鏡検査においては、ポリープのサイズや形態、抗血栓薬、抗凝固薬内服の有無にもよりますが、外来でのポリープ切除(コールドポリペクトミー)を導入しているため、初回観察時にそのまま切除できるよう対応しています。検査前の前処置としての下剤服用を患者様のご希望に応じて、自宅での服用もしくは病院外来内視鏡控室での服用を選択でき、またご希望の方には入院しての検査もご選択いただけます。

2. ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)

 消化管癌の治療においては専門学会により治療ガイドラインが作成されており、内視鏡治療技術の進歩に伴い、ここ数年ESDの適応は拡大しております。当院ではガイドラインに基づいて、患者様、ご家族に十分にご説明し、インフォームドコンセントを得た上で早期胃癌、早期食道癌、早期大腸癌及びそれぞれの前癌病変である腫瘍に対して安全にESDを施行しています。

 最近の傾向としては大腸腫瘍に対してのESD件数が増加しており、当院では処置の工夫として牽引クリップ(S-Oクリップ)を使用することで手技の安全性、処置時間短縮につなげています。

3. ERCP(内視鏡的逆行性膵胆管造影)

 ERCPは、胆嚢・胆管・膵疾患に対して内視鏡を用いてVater乳頭より胆管や膵管を造影する検査であり、当院でも年々件数が増加しています。

 総胆管結石に対する採石や、膵・胆管悪性腫瘍に対する病理学的診断、狭窄に対する金属ステント留置も積極的に行っています。最近では巨大胆管結石に対して直接胆道鏡を用いた破砕術を行うなど、様々な治療に取り組んでいます。

4. EUS(超音波内視鏡検査)

 嚢胞性膵腫瘍、膵悪性腫瘍、消化管粘膜下腫瘍、胆道腫瘍に対する精査のため、当院では2018年7月より超音波内視鏡検査(EUS)の導入を行いました。EUSで穿刺適応病変があった場合には超音波内視鏡下吸引針生検(EUS-FNA)による病理学的診断や、急性膵炎による被包化壊死や重篤な腹腔内膿瘍に対して胃や十二指腸からアプローチして処置を行う超音波内視鏡下ドレナージも行っています。

5. 内視鏡的止血術

 当院では吐血や黒色便、血便を主訴とする消化管出血に対して緊急内視鏡検査が必要な場合、迅速な対応ができるよう休日・夜間帯も消化器内科でオンコール体制をとっております。胃・十二指腸潰瘍による止血術や食道静脈瘤に対するEIS(内視鏡的静脈瘤硬化術)やEVL(内視鏡的静脈瘤結紮術)、大腸憩室出血や直腸潰瘍出血に対する止血など、様々な止血処置に対応いたします。



2018年10月より現状の内視鏡室を内視鏡治療センターとしてセンター化しました。今後も検査・治療を含め積極的に取り組んでいきたいと思っております。