整形外科では、スポーツ障害や外傷、加齢に伴う骨折・関節疾患を中心に診療を行っています。2025年度の診断群分類別患者数では、股関節・大腿近位の骨折に対する人工骨頭挿入術が最も多く174件実施され、平均年齢は82.79歳と高齢患者が中心です。在院日数は43.67日と長めで、術後リハビリを含めた一貫した治療により早期回復を目指しています。肘・膝の外傷（スポーツ障害等）に対する腱縫合術や関節滑膜切除術は計317件行われ、平均年齢は27.9歳～44.6歳と比較的若年層が多く、手術件数の半数以上を占めています。前腕骨折に対する観血的手術は65件、膝関節症に対する人工関節再置換術は62件で、平均年齢は60歳前後～75歳前後です。転院率は大部分で低く、効率的かつ安全な医療提供がなされており、高齢者から若年者まで幅広い患者層に対応した整形外科治療が行われています。

外科では、大腸肛門外科を中心に、一般外科、消化器外科、呼吸器外科、甲状腺外科、乳腺外科など広範な領域で外科治療および救急診療を行っています。当院は、日本外科学会外科専門医制度、日本消化器外科学会専門医制度、日本大腸肛門病学会認定施設などに認定されており、各専門医による高度な医療が提供されています。2025年度の診断群分類別患者数では、直腸脱・肛門脱に対する手術が最も多く310件実施されました。次いで、痔瘻手術が190件、鼠径ヘルニア手術が87件、腹腔鏡下胆嚢摘出術を含む胆嚢炎治療は66件、肛門周囲膿瘍手術は61件となっています。平均在院日数は、鼠径ヘルニア手術で4.76日、腹腔鏡下胆嚢摘出術で6.80日、直腸脱・肛門脱手術では12.13日と比較的長く、手術の難易度や患者年齢（平均63～71歳）に応じた入院管理が行われています。転院率はいずれも低く、患者に対する効率的かつ安全な外科治療が実施されていることがうかがえます。特に直腸脱・肛門脱や痔瘻の症例数は全国的に見ても多く、当院の外科の高度な手術実績を示す指標となっています。

消化器内科では、潰瘍性大腸炎やクローン病等の炎症性腸疾患、胃・肝臓・胆道・膵臓の消化器疾患全般にわたる診療を行っています。 2025年度の診断群分類別患者数では、小腸大腸の良性疾患に対する内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術が最も多く、405件に上りました。次いで、胆管結石や胆管炎に対する治療が180件、結腸の悪性腫瘍に対する早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術が105件行われています。穿孔や膿瘍を伴わない憩室性疾患の非手術治療は60件、ヘルニアの記載のない腸閉塞（手術なし）は47件でした。 平均在院日数は、内視鏡的大腸ポリープ切除では2.10日と非常に短く、胆管結石・胆管炎手術でも8.37日であり、他院平均よりやや短縮傾向にあります。転院率はいずれも低く、患者に対する早期退院支援や効率的な医療提供が進んでいることがうかがえます。また、患者の平均年齢は60～70代が中心で、高齢患者に対しても安全で質の高い医療が行われています。

救急科では、高齢患者に多くみられる呼吸器感染症や尿路感染症など、急性疾患を中心に診療を行っています。2025年度の診断群分類別患者数では、「肺炎等（市中肺炎かつ75歳以上）」が18件と最も多く、次いで「誤嚥性肺炎」17件、「腎臓又は尿路の感染症」17件となっています。いずれも高齢者に多い疾患であり、患者の平均年齢は80歳以上と高い水準です。平均在院日数は、肺炎等で32.06日、誤嚥性肺炎で22.29日、腎臓・尿路感染症で15.76日となっており、いずれも全国平均より長い傾向がみられます。これは、高齢患者の基礎疾患や全身状態の影響によるものであり、転院率も一定程度認められることから、急性期治療後に回復期・慢性期医療への移行が円滑に行われていることがうかがえます。救急医学科では、こうした高齢者の急性疾患に対して、迅速かつ包括的な医療を提供し、地域における救急・急性期医療の役割を果たしています。今後も感染症管理や合併症対策を強化し、安全で質の高い医療提供に努めてまいります。

脳神経外科では、脳梗塞、頭蓋内損傷、非外傷性頭蓋内血腫、脳血管障害などの疾患に対する治療を中心に行っています。2025年度の診断群分類別患者数では、脳梗塞（手術なし）が26件、24件で最も多く、平均在院日数は16.62日～19.00日と比較的長期の入院管理が必要でした。頭蓋・頭蓋内損傷に対するその他の手術も26件実施され、平均在院日数は8.58日でした。非外傷性頭蓋内血腫（非外傷性硬膜下血腫以外）の手術なし入院は14件で、平均在院日数は18.21日でした。脳血管障害（手術なし）は13件で、平均在院日数は4.08日と短めです。全体として、高齢患者（平均年齢62～77歳）を中心に、緊急性の高い症例や長期管理を要する症例に対しても、安全かつ適切な医療が提供されています。また、脳動脈瘤や緊急性の高い脳血管障害に対する手術も行われ、迅速な治療対応が可能な体制が整っています。

内分泌代謝科では、主に2型糖尿病を中心とした内分泌・代謝疾患の入院治療を行っています。2025年度の診断群分類別患者数では、2型糖尿病（糖尿病性ケトアシドーシスを除く、手術・処置等あり）が53件で最も多く、平均在院日数は14.98日、平均年齢は64.32歳でした。糖尿病性ケトアシドーシスや非ケトン昏睡、体液・電解質・酸塩基平衡障害などの症例にも対応しています。また、肺炎（市中肺炎、75歳以上）や誤嚥性肺炎など、糖尿病に合併しやすい疾患への入院管理も行われており、平均在院日数は概ね10～20日程度です。全体として、高齢者や合併症リスクのある患者に対しても、適切な入院管理と専門的な治療が提供されており、糖尿病患者の全身管理に重点を置いた診療が行われています。

循環器内科では、急性心筋梗塞・狭心症などの動脈硬化性心疾患、心筋症・心臓弁膜症、心不全、不整脈など幅広い循環器疾患に対応しています。 2025年度の診断群分類別患者数では、狭心症や慢性虚血性心疾患に対する経皮的冠動脈形成術等が最も多く96件実施されました。次いで、頻脈性不整脈に対する経皮的カテーテル心筋焼灼術が66件、手術なしの狭心症・慢性虚血性心疾患入院がそれぞれ57件と48件、急性心筋梗塞に対する経皮的冠動脈形成術等は44件行われています。 平均在院日数は3.00日～12.95日で、手術なしの狭心症入院では比較的短く、急性心筋梗塞では12.95日と長めです。他院平均と比べても概ね同程度で、転院率はいずれも低く、効率的かつ安全な医療提供が行われています。患者の平均年齢は約70歳前後で、高齢者にも配慮した診療が実施されています。 また、虚血性心疾患に関連した検査目的の入院も行われており、頻脈性不整脈に対するカテーテルアブレーションも47件実施されるなど、安定した治療実績を上げています。

泌尿器科では、前立腺や膀胱、上部尿路の悪性腫瘍、尿路結石、下部尿路疾患など幅広い尿路疾患に対する診療を行っています。2025年度の診断群分類別患者数では、前立腺悪性腫瘍（手術なし）が129件と最も多く、平均在院日数は3.02日で、高齢患者（平均年齢72.19歳）への配慮がなされています。次いで、上部尿路疾患に対する経尿道的尿路結石除去術が73件、膀胱腫瘍の経尿道的手術が34件、前立腺悪性腫瘍手術が28件、下部尿路疾患に対する膀胱結石・異物摘出術が27件行われました。平均在院日数は短期間のものが多く、前立腺手術は3.02～10.43日、膀胱腫瘍手術は6.41日、下部尿路疾患手術は7.11日で、他院平均日数と比較しても概ね同程度です。転院率は全体的に低く、効率的かつ安全な医療提供が行われています。泌尿器科では、経尿道的手術や体外衝撃波治療などの低侵襲治療も積極的に行い、患者の状態に応じた専門的な治療体制が整っています。

眼科では、白内障をはじめとする水晶体疾患、黄斑変性、網膜剥離など幅広い眼疾患に対する手術治療を行っています。2025年度の診断群分類別患者数では、白内障手術が最も多く、片眼手術は433件、両眼手術は69件実施されました。黄斑変性に対する手術も24件行われ、硝子体疾患に対する手術にも対応しています。平均在院日数は全体的に短く、片眼白内障手術で3.02日、両眼手術で5.87日、黄斑変性手術で3.04日と、早期退院に努めた効率的な医療提供が行われています。患者の平均年齢は70～76歳で、高齢者にも配慮した治療体制が整っています。

形成外科では、眼瞼下垂や骨軟部の良性腫瘍、頭頸部悪性腫瘍、顔面神経障害など、多岐にわたる領域の治療を実施しています。2025年度の診断群分類別患者数では、眼瞼下垂に対する手術が14件行われ、平均在院日数は3.50日で、高齢患者が多く平均年齢は76.57歳でした。骨軟部の良性腫瘍に対する手術は10件で、平均在院日数は5.80日、平均年齢は46.4歳とやや若年層も含まれます。顔面神経障害やその他新生物、頭頸部悪性腫瘍に対する手術も行われており、いずれも転院率は低く、安定した治療実績を示しています。全体として、高齢者から比較的若年層まで幅広い患者に対応した、安全で質の高い形成外科医療が提供されています。

整形外科では、関節鏡手術を中心としたスポーツ外傷治療と、高齢者に対する骨折・人工関節手術を幅広く実施しています。2025年度の主な手術実績では、関節鏡下半月板切除術が136件、関節鏡下靱帯断裂形成手術（十字靱帯）が116件行われ、平均術後日数は2～14日程度と短期間での回復を目指しています。これらの手術は比較的若年者に多く、平均年齢は28～45歳と低めです。一方で、高齢者を対象とした骨折観血的手術も多数実施されており、下腿骨折手術124件（平均術後日数7日）、大腿骨折手術123件（平均術後日数32.3日）と、特に大腿骨近位部骨折は長期入院が必要で、転院率も24％となっています。人工関節置換術（股）は100件行われ、平均術後日数は26.5日で、高齢者の生活機能回復を重視した治療が行われています。全体として、整形外科では若年者のスポーツ外傷から高齢者の骨折・関節疾患まで、幅広い年齢層に対応し、安全かつ機能回復を重視した手術を提供しています。

外科では、大腸肛門手術を中心に、腹腔鏡手術を含む低侵襲手術を積極的に実施しています。2025年度の実績では、痔瘻根治手術（複雑）が180件、肛門形成手術（直腸粘膜脱形成手術）が158件、痔核手術（脱肛を含む）が101件行われ、高い症例数を維持しています。平均術前日数は1～2日程度、平均術後日数は9～10日で、患者負担を考慮した入院管理が行われています。また、腹腔鏡下胆嚢摘出術100件、腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術69件も実施され、低侵襲手術により短期間での回復が可能となっています。平均術後日数は全体で約3.48日と短く、早期退院やスムーズな社会復帰が図られています。全体として、外科では高齢者・中高年から若年層まで幅広い患者に対応し、安全かつ効率的な手術体制が整えられています。

循環器科では、経皮的冠動脈ステント留置術や経皮的カテーテル心筋焼灼術などの低侵襲カテーテル治療を中心に実施しています。2025年度の実績では、経皮的冠動脈ステント留置術が86件、平均術前日数は1.67日、平均術後日数は3.98日で、短期入院での治療が可能です。経皮的カテーテル心筋焼灼術（心房中隔穿刺又は心外膜アプローチを伴うもの）は57件実施され、平均術後日数は2.04日でした。その他、四肢の血栓除去術32件、経皮的冠動脈形成術（高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテル）22件、リードレスペースメーカー移植術18件も行われ、高齢患者（平均年齢約71～87歳）への安全かつ迅速な治療が提供されています。全体として、循環器科では短期間での回復を目指した低侵襲治療を推進しており、患者負担を抑えつつ高度な医療を提供していることがわかります。

泌尿器科では尿路結石や膀胱・前立腺悪性腫瘍に対する手術を中心に実施しています。経尿道的尿路結石除去術（レーザー） が最も多く72件行われ、平均術後在院日数は2.21日と短期での退院が可能です。膀胱悪性腫瘍に対する経尿道的手術 は51件実施され、術後在院日数は5.29日で、1.96%の患者が転院しています。腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術 も28件行われ、全例で手術支援ロボットを使用。平均術後在院日数は8.43日で、患者の身体的負担を軽減し、早期回復を図っています。その他、経尿道的尿管ステント留置術や経皮的尿路結石除去術も行われており、幅広い泌尿器疾患に対応しています。

消化器科では、大腸ポリープ切除術や早期悪性腫瘍に対する内視鏡的粘膜下層剥離術（ESD）を中心に積極的な内視鏡治療を行っています。
2025年度の実績では、内視鏡的大腸ポリープ切除術（長径2cm未満）が349件、長径2cm以上が79件、合計で428件実施されました。早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術は142件行われ、平均術前日数は1日、平均術後日数は3.89日で、患者負担の少ない短期入院治療が可能です。また、内視鏡的胆道ステント留置術161件、膵管ステント留置術33件も行われ、高齢者（平均年齢66～78歳）への安全な内視鏡治療体制が整っています。術後の平均在院日数は概ね1～8日と短く、効率的な早期退院が実現されています。全体として、当院の消化器内視鏡治療は、低侵襲で安全性の高い治療を提供するとともに、高齢者にも配慮した入院管理を行っていることがわかります。

眼科では白内障手術を中心に、網膜・硝子体疾患に対する手術も実施しています。2025年度の主な手術では、水晶体再建術（眼内レンズ挿入あり）が最も多く491件行われ、平均術後在院日数は1.41日と短期間での退院が可能です。患者の平均年齢は約76歳で、高齢者への負担を抑えた手術が行われています。また、硝子体茎顕微鏡下離断術（網膜付着組織を含むもの）も34件実施され、網膜剥離や糖尿病網膜症などの硝子体疾患に対する治療も安定して行われています。全体として、眼科では早期回復を重視した低侵襲手術体制が整っています。

形成外科では、眼瞼下垂手術を中心に、皮下腫瘍摘出術や四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術、涙管チューブ挿入術など多様な手術を行っています。他院からの紹介も多く、眼瞼下垂手術は入院下で実施され、安全・安心な治療を提供しています。

脳神経外科では、高齢者に多い慢性硬膜下血腫や脳血管障害に対する手術を中心に実施しています。2025年度の主な手術では、慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術が最も多く29件行われ、平均術後日数は9日、平均年齢は77歳と高齢患者が多いことが特徴です。脳血管内手術（1箇所）や経皮的頸動脈ステント留置術もそれぞれ10件実施され、特に脳血管内手術は転院率20％と、症例の重症度に応じた対応が行われています。さらに、脳動脈瘤頸部クリッピングなど開頭手術も行われ、緊急性の高い脳血管疾患に対して迅速かつ適切な治療を提供しています。全体として、脳神経外科では高齢者の慢性硬膜下血腫や血管障害に重点を置きつつ、緊急性・専門性の高い手術にも対応する体制が整っています。